2014年1月3日金曜日

読後感「老楽国家論-反アベノミクス的生き方のススメ」浜矩子著

Amazonのレビューを見る限り、実に悪評サクサク、ケチョンケチョンである。書評も、これでも経済学者かと疑問を呈する人、ここ10数年彼女の予測が当たった例がないとする人、学習が全く無いことに懲りずにまだ書くのかと疑問を呈する人など様々だが、この本を読んでいなくては書けない筈で、むしろそのことについて敬意を払いたくなる。確かに著者は嘗て円の対ドルレートが50円になるかもしれない、なって当然のように言っていたのを聞いた記憶がある。

流石に本書では対ドルレート問題には触れず、また日本経済についての予測は皆無に近い。それでもアベノミクス経済戦略に対する批判の舌鋒の鋭さは相変わらずで、読んでいて心地よさがある。著者が経済学者として、如何程に評価されるべきかを論ずる資格はもとより無い。しかし著者の言わんとするところに共感を覚えることが多いのは事実だ。まさか素人を騙したり載せたりして有名になろうと思っている訳でもなかろう。

店頭で、正月休みに気楽に読めそうな本だと思って購入したのが正解だった。経済関係の本だと思わなければ面白い随筆だ。元々著者は少しか大層かは別にして、変わり者の類だろう。大量飲酒を自認し、英国生活が長いと聞くが、子供の英語教育に反対したりしているところから、我が家では家内が大ファンである。日本語や歴史をきちんと身に付けないと、何を学んでも肝心の時に判断を間違いかねない。私もこの考えが大好きである。

今回書きたかったこともこれに尽きるのだろう。現政権の取っている経済政策の根本にある歴史認識を問うているようだ。即ち、経済成長戦略は否定できないにしても、目指すところが何かである。経済成長だけが日本を救う道とすると、手段が目的化してしまいかねない。近代史を振り返れば、日本が高々100年も経たない間にどれほど成長してきたか、国民もどんなに豊かになってきたか。

少し冷静に考えると、現代表面化しつつある社会問題の根本が格差問題になりつつあることを指摘している。これが果たして現政権の目指す経済材成長戦略によって解消可能か否かであるが、そうはいかないだろうと述べている。かと言って野党側主張の分配理論だけで片付くわけでもない。現在豊かさの中に生じている貧困と、嘗てあった貧困の中の豊かさとは大違いの筈だから、経済政策だけでなく、労働政策、教育政策、環境政策から外交に至るまで、大変難しい合わせ技が必要。少し外国の経済政策も勉強してみろと言わんばかりで、現政権の考えは余りにも単純と非難している。

当たり前と言えば当たり前だが、経済成長に賭けている若い人には受けにくいだろうとは容易に想像できる。歴史観を共有できる年代でもあり、個人的には生活を少し多面的に捉えるようになっているので、共感できるところが多かった。

昨日は早起きしてブログを書きましたが、その後下の娘一家と新年を祝ったが、明日は又もう一人の娘家族との新年会なので初泳ぎも出来ず、ブログも書けそうにありません。

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