2013年6月27日木曜日

原発報道に見る権力との馴れ合いにうんざり

報道は昨日26日、電力各社が一斉に開いた株式総会について報じ、北陸電力以外の8社の総会では脱原発を求める提案が相次いだこと、しかし何れも否認され、来月8日に施行される原子力規制委員会の新規制基準を受けて、再稼働の申請を予定している、とごく当たり前のように書いている。8社の中には国が過半数の株主である東電も含まれることは言うまでもない。メディアは政権が代わり、かくも簡単に国が原発再稼働に舵を切ることを国民が納得していると見ているのだろう?

マスコミが何の疑問も感じないことが不思議でならない。現存する50基の高価な設備を時を経ずに廃炉にするのは、経済的大きな損失であるのは間違いなかろう。しかし銭や金の問題ではなかろうと思っている人も多いだろうし、メディアの中にも居そうなものだが、そうではないらしい。福一の事故については未だに原因さえ究明されず、終息の見通しが全く立たないことは万人の認めるところだ。

まさかそれ故だからと強弁するのではなかろうが、この事故で責任を取った人間もいない。東電元会長勝俣氏や清水氏はその職を辞しても、関連企業に優雅に天下っているのも周知の話。昨日読後感に書いた小説の中に旧軍部の責任体制に関して書いてあった。「作戦の失敗であっても偉い人に責任は及ばない。常に犠牲になるのは戦いの現場にいた兵員だけである。従って同じ失敗が何度も繰り返された。」

ある学者によれば、日本で震度6の地震が発生する確率は10年に1度より高いそうだ。来月発表の新規制基準に依ると「適合しない発電所も、5年の猶予期間を設けて稼働を認める。」なんて書いてあるらしい。まるで日本語の態を成していないと思うが、マスコミの反応は鈍い。柔道界や野球界も同じだが、一体に大マスコミ程責任者への責任追及が甘い。むしろ現場では、コンフェデで3連敗を喫したサッカーチームを率いるザッケローニ監督には非常に厳しいが。

偉い人間同士は身内意識があってかばい合うものらしいが。勝手な想像をすればメディア自身が偉い人の身内なのか。それとも責任を追及すると報復が怖いのかね、だとしたら看板を下ろせよ。

既成事実化する原発再稼働を目前にして、ネットの方が一読に値する情報がある。参考までにそのごく一部を転載する。
以下は【岩上安身のニュースのトリセツ】6月26日配信からの引用である

<そもそも地震や津波などによるメルトダウンの危険性を無視し、対策を講じようとしなかったのは、第一次安倍内閣である。2006年12月13日、日本共産党の吉井英勝衆院議員が、津波や地震によって原発の炉心冷却機能が失われ、メルトダウンをもたらす危険性を警告する質問主意書を提出した。

これに対し12月22日付けの安倍内閣の答弁書は、「地震、津波等の自然災害への対策を含めて原子炉の安全性については、経済産業省が審査し、その審査の妥当性について原子力安全委員会が確認しているものであり、御指摘のような事態が生じないように安全の確保に万全を期している」とし、メルトダウンをもたらす燃料損傷の可能性についても、その評価すら行わないと答えている。

安倍総理は、「安全を確認している」という言葉を軽々に用いて、事故を招き、その責任をとってこなかった前科があるのだ。この決定を下した当時の政府担当者、第一次安倍内閣の閣僚、安倍総理を含め、誰もその責任を追及されてはいない。>

前後を省略しているが、この数行読むだけでも如何に無責任で反省がないことが窺えるではないか。

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