2013年5月15日水曜日

就職事情今昔

最近憶えた新語に「ブラック企業」がある。具体的にすぐ名前が出てくるのが成長企業の「ユニクロ」である。新規採用された正社員が入社後3年以内に50%以上が離職、何でも、20歳代の社員が半年で店長となって目標達成からアルバイト管理まで過酷な労働を強いられ、休職者の42%がうつ病などの精神疾患と報じられている。俄かに信じがたいが「火の無いところに何とやら」だし、国会で取り上げられるくらいだから似たような企業が沢山あるらしい。

会社が儲かるのは社員が良く働くからに違いなかろうが、それにしても荒っぽいものだ。こんな噂が立っても就職希望者が押し寄せるとしたら、余程給料がいいのだろう。それにしても、こうまでしないと競争に勝って生き延びることが出来ない企業側も大変、と同情もしたくなる。小生がサラリーマン生活からリタイアする頃、既に定年延長に伴う役職停止で、給料は下がるは、部下だった人間の下に就くは、がサラリーマンの悲哀として語り始められていた。

それでも一つ会社で40年と一寸勤め上げ、細やかな退職金を貰い、亡くなるまで貰える年金と併せて、生かさず殺さず程度の生涯を全うする。日本の勤労者約6千万人のうち半数近い人がこのパターンだったのではないだろうか。こう言うと余りハッピーに聞こえないかもしれない。しかし小生もこの範疇の一人だが、これはこれで結構ハッピーなのだ。昔就職したての新人は、碌な仕事はさせてもらえず、先輩の下働きみたいを長いこと勤めさせられる。

しかし日本の会社は和を以て尊しだから、訳のわからない会議、食事会、出張が多く、先輩がいると帰り難いことは事実だろうが、その代り、帰りには先輩が飲み屋に連れて行ってくれる。本当に仕事をしている時間が少ないのが日本企業の特徴と世界から認められていた。体験をベースに言えば、本当に仕事をしたのは精々35歳からの10年一寸しかないように思う。後は仕事と称する神輿の棒に触っていただけ。

どこの会社を見ても似たような状態に見えたが、それでも日本の経済は順調だったと思うのは錯覚だろうか?殆どの企業が10年近い歳月をかけて新人を育て、後でゆっくり会社に貢献してもらう。それがいつの間にか企業側に許されなくなって、企業側は全ての社員が即戦力、結果は全て費用対効果で評価、給料はそれに応じるので年齢は関係ありません。これが日本経済再生のために不可欠の方法です。財界にはそんな意見が強いらしい。

大学を出ても、上級職でなくていいから区役所に就職したい人間が増えるのも分かるような気がする。孫にはブラック企業に行ってほしくないし、区役所なんかにも努めてほしくない。

1 件のコメント:

トパーズ さんのコメント...

ユニクロの実態、なんとなくそんな気もしていました。
急成長の裏には、やはり無理があったんですね。
よい時代に、仕事を持てて、運が良かったのだと思いました。