2011年6月16日木曜日

誰が詫びるのか?

311から100日以上も過ぎてしまうと、福島の原発から相変わらず毎日放射性物質が垂れ流され、放射能汚染がじわじわと広がっている事をつい忘れがちになる。事故直後アメリカ政府は、自国民に対し80キロ圏外への避難を勧告した。今になって聞くと、これは最悪のケースを想定しての事ではなく、日本政府を慮って控えめな発表に留めたらしい。アメリカ政府は日本政府や東電の発表を信用せず、自前の情報収集努力をして自前の評価をしている。当然彼等は当初から日本政府の発表とは異なり、相当重篤な事故と認識しているのは言うまでもない。

報道では事故現場に於いて対策が取られ始めている事ばかり流すので、つい忘れがちだが、放射能汚染に関して言えば事態は全く改善されていない。東京を含めてほぼ東日本一体が放射能に汚染されつつある実態が報道されるようになると、我々にもその重篤さは大分認識できるようになってきた。東京でも主婦たちが何人か共同して10万円前後もする放射性物質の測定機を購入して、自分の生活エリアを測定する人が出始めているようだ。

アメリカが想定する最悪の事態は、本州或いは日本列島全体がビキニ環礁のようになる事だろう。最近は日本政府もやっと事故の重大さを再認識して、情報の共有を図ろうとしているようだが時既に遅しのようだ。余りに初動が悪すぎたらしい。当初「30年も原発を作っていないアメリカより我が国の方が知見が豊富、任せてもらいたい。」と強がって、やれ水棺方式で安定化をなんてとんちんかんな事言っていた政府も、やっとアメリカやフランスの力を借りて冷却水の循環システムを立ち上げようとしている。

建屋のカバーについてはチェル同様に石棺しかないようで、その前段階でグラスファイバーのネットをかける準備が始まったようだ。こういった一連の対策が効果を発揮するのは早くても年明けになりそうだ。未だに日本は17基かの原発を稼働させているが、1度ある事は2度あるで、年内にそのうちの1基に電源喪失でも発生したらどうするのだろう?浜岡を止めたし30数基は運転してないと威張っても、福島第1では運転を止めていた4号でも水素爆発が起きている。ウランやもMOX燃料の存在そのものが危険である事は嫌なほど分かった筈だ。

再生可能エネルギーの推進を口にして、自らの延命を図る首相を見ていると、未だ消火作業中の火事場の近くをうろついて、防火対策の整った新しい家を売りむ詐欺師を見る思いだ。政治家とはここ迄卑しい性なのかと情けなくなる。ここに来て会期延長だ事の2次補正だと騒ぐ与党も与党なら野党も野党だ。お互いに火事場の事はすっかり脇に置いている。これでは誰が政権を取ろうが、早急に放射能汚染を止める事は無理だろう。東電なる企業が如何なる運命になるかは想像できない。今週は政府がこれをつぶさないことを決定したとの情報で、株価が急上昇したとの事だ。都民でさえ全く無関係とはいかないだろうが、故郷を失う事になる多くの人に誰がどのように詫びるのか?

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